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フレンチレストラン“HANZOYA” 加藤 英二様

フレンチレストラン“HANZOYA” 加藤 英二様

賑わう新横浜駅周辺の街に楚々として建つ、大きなトリコロールの旗が目印のフレンチレストラン“HANZOYA”。
「お客様に常に最上のものを」をモットーに、こだわり抜いた旬の自然食材を最高の技術で料理する。一方、料理セミナーや講演を通じての食育活動にも熱心に取り組むオーナーシェフ、加藤英二さんにお話を伺いました。

■フレンチレストランとパティスリー、トータルウエディングプロデュースのお店を経営しながら、自身も厨房に立ちます。食育や地産地消をテーマにした講演活動がライフワークに。

 

フレンチレストラン「HANZOYA」の経営、それから厨房でシェフとして働いています。そしてレストランを含むこの建物全体では、ウェディングを中心とした企画・運営をおこなっています。
あと系列店舗ですが、新横浜駅前にある業界初のウェディングケーキ専門工房「ラ・ピエスモンテ」、ウェディングドレスショップ「ドリームズカムトゥルー」の経営にも携わっています。

 

また、地域の主婦向けに「HANZOYA」にて食材カテゴリー別のお料理セミナーを月3回、近隣2件の小学校、および町内会におきまして、ご父兄を対象とした食育セミナーを年一回づつ、あとは、看護師の配膳会などの企業様に、テーブルマナー講座やセミナーを頼まれることもあります。こういった食育をテーマとした講演活動を通じて、地元に社会貢献できればと願っています。

 

 

 

■本当に納得のいく食材を求め、生産者・産地めぐりにこだわりつつ、健全な流通市場も維持したい。

 

私が食育に関する啓発活動に力をいれるようになったのは、仕事を通じて実際に体験してきた、食を取りまくさまざまな現状を知ってもらいたいという思いからです。
それともうひとつ、私の目標である「横浜に市場(いちば)を創る」という計画の一端でもあるのです。

 

フランスから帰国し、この店を切り盛りするようになってからの話ですが、ある時、お客様に当日の朝に仕入れたばかりの天然の鯛を料理してお出ししたんです。ところが、そのお客様は、お会計のあと、レシートの裏にびっしりとクレームを書いて帰られました。
私は、どうしてもそれが心に引っかかり、“なぜ食材の鮮度が低いと疑われたのか?”そして“どうすれば疑われないで済むのか”といろいろ考え、一度、鮮度の高い魚を自分の目で確かめて仕入れようと、築地へ足を運びました。

 

そうすると、築地市場を見て回って驚いたことに、450軒ほどもある築地の市の中で、新鮮かつ質の良い魚を適正価格扱っているのはとても少なかったのです。
これは一体どういうことなのかと不思議に思い、2ヶ月ほど通って市場関係者と親しくなったなかでわかったことは、築地ほどの巨大なマーケットでは、顧客の需要に対し幅広く、十分な余裕を持って応えなくてはならないため、しかもそのうち40%は売れずに廃棄となってしまうので、その分が価格に織り込まれているという現状です。そして、廃棄をなるべく減らすために鮮度の落ちたものも中には売られてしまっていることもあるのです。市場に通い続けることで、さまざまな複雑な要因が絡んで一朝一夕に解決できる問題ではないことがわかってきました。

 

私は悩んだ挙句、大切な店の食材は、市場任せで仕入ず、自分の足で納得したものを選ぶことを決心し、産地に直接出向きました。
そして“これだ!”と思った生産者の方に、一旦は築地市場の知り合いのお店を通して販売してもらうようお願いしました。
「わざわざ市場を通さなければ安く済むのにおかしな人だ」とよく言われましたが、市場としての役割や機能もなくてはならない重要なものなので、生産者、市場、お店が共存できる健全な食の流通を維持することが大切だと思っているのです。
それ以来、私は、店で使う肉や野菜などの食材についても同様に、直接産地へ行って自分の目で確かめ、味と品質にこだわりがあって、信頼がおける生産者の方を一生懸命探し続けました。

 

 

そうして本当に“新鮮な”食材を使ったお料理を、お客様にご提供できる環境へと整えていったのです。
産地で自分が覚えた、食材およびそれを作る生産者の方々のこだわりに対する感動を、料理を通じてお客様にお伝えすることができる。
これって素晴らしい事ですよね。あちこち探しまわった末、やっといい食材に巡り合えた時なんかは本当に興奮します。

 

そんな話を妻にしたところ、「すごいね、そういう新鮮な食材ってどこで買えるの?」と尋ねられました。
 私 「いやそこらのスーパーなんかじゃ買えないね。ウチのレストランじゃなきゃ食べられないよ。」
 妻 「ええー?じゃあ、あなたはお店では新鮮で安全なもの使って料理するのに、家に帰ってきたら古い食材の料理を食べるの?」
 私 「・・・」
 妻 「いいのそれで?」
 私 「うーん・・・」

私はまた困ってしまいました。
もちろん自分や自分の家族、そしてまわりの人たちの食卓にも、新鮮で安全な食材が並んで欲しい。しかし現在主流となっている生産・流通のシステムだとうまくいかない事がこれまでの経験でわかっています。

 

だったら現状を変えるしかない。少しずつでもみんなの意識が変わっていけば、しくみも変わっていけるはず。そう思い、自分にできることって何だろう?と考えた結果が、食育だったんです。

 

 

■忙しい若いお母さんたちが、少しでも手間を惜しまない料理を作る姿を子供達にみせてあげて欲しいと願っています。

 

昨今、浮き彫りになっている食品偽装問題などのニュースにより、食の安全に対する関心は年々高まってきています。

小学校でお母さん達におこなっている食育会も1年目は30人ほどだったのが、2年目は50人。しかも1年目の方々が100%リピーターとして参加されました。3年目の今年は70人を超え、参加された方からの「週に2回はお魚にしました。」「缶ジュースをやめました。」などといった声を聞き、はっきりと手ごたえを感じられるようにもなって来ています。

 

まず最初にお母さん達から「あなたの思う理想のお母さん像は?」というアンケートをとったりするんですが、必ずといっていいほどトップに上がってくるのがサザエさんのお母さんの「フネさん」です。
いつもかっぽう着スタイルな印象で、古き良き日本の優しいお母さんという感じがしますよね。
「みなさんはどうですか?理想とするフネさんに近づいていますか?」と尋ねると、若いお母さんたちはみんな黙っちゃう(笑)

 

それと、実際にだしを入れたものと味噌だけのお味噌汁作って、両方飲んでもらうんです。
もちろんだし入りの方が美味しいはずなんですが、いつも飲んでいるほうは違う。実際はだしをとらずに、味噌だけで作っている人が意外に多いことがわかります。

 

お味噌汁というのはいわゆる「おふくろの味」を代表するものだと思います。お母さんは、家族みんなの好みに合うように日々調整を重ね、それを飲む家族の好みもまたひとつの方向に近づいていく。

それは必ず家族の絆に結びつくはずです。例えばお子さんがよそでお味噌汁を飲んだとき、「うちのより美味しい!」と思われるより、「うちの方が美味しい!」といって欲しいですよね。

 

現代の日本、お母さん達も色々忙しいのはもちろんわかります。
その忙しい中でご飯を作り、そこに一手間かける愛情がやっぱり“お母さん”なんだと思います。朝起きて、居間へ向かうと台所から包丁がまな板をたたく”トントントン・・・”という音が聞こえる。

 

そんなシチュエーションが私たちの世代では日常だったはずです。
すべてあの頃のように、というのは無理がありますが、朝はお味噌汁を作って家族に飲ませる。

これだけでも理想のお母さん像にずいぶん近づく気がしませんか?
こういった話と、私が見たり聞いたりした食品業界の現状を織り交ぜて話す事で、少しでも食に関する「知識」と「意識」を持ってもらおうとしています。

 

 

■夢は都市と地方の農業の共存。そして地産地消の市場を横浜に!!

 

これまでに食材を求めてあちこち飛び回っていますが、産地における高齢化問題の深刻さを目の当たりにしています。
現在、就農者の平均年齢は70歳以上と高齢化が行き着くところまで行っている感があります。若い人の農業離れは廻り廻って、国民の食に対する理解不足や業界のモラル低下を招く一因になっているのではないでしょうか。
これを食い止めるには、従来の農業のやり方やその支援策だけでは無理があるのでしょう。

 

ここからは私が思い描く理想の農業のかたちです。
キーワードは、“稼げる農業”と“地方型と都市型農業の共存”。
ある有識者の方によれば、現代農業の手法であれば、ハウス2棟で年間1000万の売上げも可能だそうです。

広大な農地を必要としないので、比較的人口密度の高い都市部で行なう農業に向いているといえます。都市部に生活基盤を置きたい若い層はここで少量多品目生産を行い、地方では従来の単一品目大量生産で基本的な棲み分けをする。

 

そうして新鮮な地元野菜が手に入る“地産地消”市場を形成する。
私はこれを横浜で実現したいのです。これが住民の多い政令指定都市におけるモデルケースとしてブレイクすれば、全国的拡がりにつながり、必ず現状は変わります。

 

もちろん、到底一人でやれる事ではないので、自分にできること(食育活動)を可能な範囲で積み重ねていく中、出会った人にこの話をしています。その甲斐あってか、いろんな方にご賛同やご協力を得られつつあり、実現に向けてゆっくりですが進んでいると感じています。

 

 

■プロフィール 

加藤 英二(カトウ エイジ)

1970年 横浜市生まれ
新横浜在住
吉祥寺   葡萄屋   (ステーキハウス)
渋谷    ラ ロシェル (フランス料理)
沼津    ロベス ピエール (フランス料理)
パリ    フォーシェ  (フランス料理)
ディジョン ティベール (フランス料理)
横浜    HANZOYA (フランス料理) 現在
趣味     :海釣り・旅行
好きな言葉  :惚れて通えば千里も一理

 

 

■編集部から

とっても熱い人なのに、まったく威圧感を覚えない素敵な魅力を持つ方です。
物事を真剣に追求する純粋さと、現実を見据えて考える柔軟さの両方を持っていらっしゃいます。

信じられないほどの活動量をこなすそのバイタリティとタフさの秘訣はやっぱり“食”にあるんでしょうか?
“横浜市場”計画。私たちも応援したいと心から思いました!これからも美味しくて幸せになれる食生活を広めるために、がんばってください!

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