海洋汚染とイルカの危機
知ることから始めよう。地球で起きている出来事。
賢くて愛らしいイルカは、その性格からたくさんの人たちに愛されています。しかし野生のイルカの生態については詳しくご存知ない方が多いと思います。優しく平和的なイメージのあるイルカ、実は優秀なハンターであり、そして今彼らは深刻な危機に直面しています。
1.イルカの生態
イルカは集団で行動する優秀な海洋哺乳類。彼らは潜水艦や漁船に使用されているソナーと同じ原理の“エコーロケーション”という特殊な能力をもっています。自ら発した音波を物体に当て、その反響で周囲の状況を把握することが出来きます。こうして砂で身を隠す魚も目を使わずに見つけ出す事ができますが、子供はこのテクニックをマスターするまでお母さんに頼って生活しています。
精力的なオスのイルカは10歳~13歳で大人になり、メスをめぐって時折ケンカもしながら、1日の3分の1を求愛活動に費やします。彼らは集団で狩りを行い、尾を水面に打ちつけながら魚の群れを追い込みます。また場合によっては他の集団と連携し、巨大な魚の群れを共同でハンティングするのです。群れ毎に独自のルールがあるイルカたちは、優れた社会性を持つ動物なのです。
イルカの寿命
ところで皆さんはイルカの寿命は何年かご存知でしょうか?
一般には40年といわれていますが、例えばバンドウイルカの場合、生存競争の過酷な海の生活の中で、オスが30歳を迎えられるのは稀だそうです。そして今、イルカにとってもっと深刻な問題があります。それは、イルカの生息する世界各地の海で異変が起きていることです。
2.地球規模で拡大する海洋汚染

私たち人間は経済を優先し、たくさんの化学物質を生産し利用してきました。中でも毒性の強いPCB(ポリ塩化ビフェニール)やDDT等の一部の化学物質は、生物への影響が懸念され、先進諸国では既に生産・使用が禁止されています。それでもそうした化学物質による環境汚染はなくならず、とくに海洋汚染が深刻化しています。
有害化学物質のはきだめに生息


こういった化学物質は一体どのように世界に広がり、海に到達しているのでしょうか。まだまだ不明な点が多いのですが、地球規模で汚染が拡大していることは事実です。とくに海は有害化学物質の集積地となっており、そこに生息する哺乳類は、人間が排出した有害化学物質のはきだめに生息しているといっても過言ではありません。
体内に蓄積されていく有害化学物質
愛媛大学沿岸環境科学研究センターの田辺教授と米国地質調査所のO’Shea博士が、これまでに報告されてきた海の哺乳類の化学物質汚染に関する論文を解析してまとめた調査によると、1960年代には8種類の海洋哺乳類(イルカ、アザラシ等)からわずか5種類の化学物質が検出されたのに対し、30年後の1990年代には、50種類の海洋哺乳類から、なんと265種類もの化学物質が検出されている事が分かりました。
つまりイルカやアザラシなど、様々な海洋哺乳類が有害化学物質に汚染され、現在では生産されていない有害化学物質さえ、未だに彼らの体内に蓄積されている事が実証されたのです。
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